地震や火災と比較して「雨水なんてたいしたことはない」と考えるのは大きな誤りだ。千年住宅では、地震対策や火災対策と同等のエネルギーを防水対策にあてる必要がある。水と建築材料の関係を考えてみよう。木材は水に触れると腐り、金属は錆びつき、石材は艶をなくして風化する。水はゆっくりと隙間から忍者のように染み込んで、音もなく材料を破壊していく。気づいたときには、屋根の下地は腐り、内装がダメージを受けている。細かな屋根材の隙間がターゲットになり、水は毛細血管現象によって染み込んでいく。ひび割れに水が浸入すると、凍結融解によって少しずつひび割れが押し広げられ、傷口を大きくする。水が氷になるときに生じる九パーセントの膨張がじわじわとダメージを与え続ける。トルコのイスタンブールにあるハギア・ソフィア(創建五三七年)はビザンチン様式のモザイク画のイコンの美しさで知られており、現在は博物館として保存されている。しかし、長年の雨漏りにより壁面や天井を覆うフレスコ画に染みや変色が生じ破壊が進んでいる。
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