明るい未来を生きるために建て替え

2011.12.10

私は「リフォームはかえって損」と判断。Kさんに「思い切って建て替えませんか」と提案しました。ところが、Kさんはあくまでもリフォームで切り抜けたいご様子です。「だって本格的な建て替えとなれば、仮住まいをしなきやならないんでしょう。この年になって引っ越しなんていやですよ。面倒くさい。荷物の整理も大変だし…」荷物の整理!そうだったのか。その瞬間、私はようやく合点しました。Kさんが「居ながらリフォーム」にこだわった理由もそこにあるのかもしれません。

[参考サイト]
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Kさんの旧居は亡き奥さんの遺品だらけの家でした。クローゼットや押し入れを開ければ、そこにあるのは奥さんのものと思われる物ばかり。まるで奥さんの思い出のなかで暮らしているようなのです。初めてお会いしたとき、私が感じた「影」もそのせいかもしれません。こんなことではいけない……。私自身、最初の妻を病気で失ったつらい体験をもっています。だから、Kさんの気持ちはよくわかりました。しかし、定年退職した身とはいえ、Kさんはまだ六五歳。この先、一〇年も二〇年も、ひょっとしたらもっと長い未来があるではありませんか。その未来をまるごと、亡き奥さんの影のなかで生きるのでは寂しすぎます。私はKさんに明るい未来を生きていただきたかった。だから「まずは奥さまの遺品を整理してください」と申し上げたかったのですが、なかなか言い出せません。その意味でも思い切って建て替え、引っ越しすることはいいチャンスだと思ったのです。